偏差値とは
偏差値とは何でしょうか?名前の偏差から想像するに何かからの差分値のように想像できます。
偏差値は、Z-Score で求めた値をさらに加工したものとして考えることができます。
具体的には、Z-Score に対して平均が 50、標準偏差が10 (分散が100) となるようにデータの分布を加工することで求めることが可能になります。
Z-Score では、平均が0、分散が1 の分布なので、偏差値を求めるには、Z-Score に標準偏差10 を掛けて、平均50 を足すことで、平均が50 分散が 100 の分布としてあげます。
(※加算、乗算の性質を参考のこと)
以上の加工を施してあげた値が偏差値になります。数式で表すと以下のようになります。
\begin{aligned} D = \frac{x – \bar{x}}{s} × 10 + 50 \end{aligned}
ここで、\( D \) : 偏差値、 各データ : \( x\) 、平均 : \( \bar{x}\) 、標準偏差 : \( s\)
偏差値を用いると平均からの相対値を感覚的にイメージしやすくなります。
平均よりも高い値であれば、偏差値は50 よりも大きく、
平均よりも低い値であれば、偏差値は50 よりも小さくなります。
<※参考情報:加算・乗算の性質>
・各データに値 \( a \) を加えると、平均は \( a \) 倍になる。
⇨ 加算の性質
・各データに値 \( k \) を掛けると、平均は \( k \) 倍、分散は \( k^2 \) 倍になる。
⇨ 乗算の性質
偏差値を求めてみよう
問題: ある物理のテストを5人の学生が受験し、点数が以下のようになりました。これらの点数に基づいて、各学生の偏差値を求めてみましょう。
- 学生A: 75点
- 学生B: 82点
- 学生C: 68点
- 学生D: 90点
- 学生E: 77点
手順は以下の通り、求めてみます。
1. 平均を計算する。
2. 標準偏差を計算する。
3. Z-Scoreを計算する。
4. 偏差値を計算する。
- 平均値の計算:
平均値 = (75 + 82 + 68 + 90 + 77) / 5 = 78点 - 標準偏差の計算:
- 各データポイントから平均値を引く:
学生A: 75 – 78 = -3点
学生B: 82 – 78 = 4点
学生C: 68 – 78 = -10点
学生D: 90 – 78 = 12点
学生E: 77 – 78 = -1点 - 各データポイントの差の二乗を計算し、平均を取る:
分散 = ((-3^2) + (4^2) + (-10^2) + (12^2) + (-1^2)) / 5 = 61.2 - 平均の平方根を取り、標準偏差を求める:
標準偏差 = \({\sqrt{61.2}} \)
≈ 7.82点
- 各データポイントから平均値を引く:
- Z-Scoreの計算:
学生AのZ-Score = (学生Aの点数 – 平均値) / 標準偏差 = (75 – 78) / 7.82 ≈ -0.38
学生BのZ-Score = (学生Bの点数 – 平均値) / 標準偏差 = (82 – 78) / 7.82 ≈ 0.51
学生CのZ-Score = (学生Cの点数 – 平均値) / 標準偏差 = (68 – 78) / 7.82 ≈ -1.28
学生DのZ-Score = (学生Dの点数 – 平均値) / 標準偏差 = (90 – 78) / 7.82 ≈ 1.53
学生EのZ-Score = (学生Eの点数 – 平均値) / 標準偏差 = (77 – 78) / 7.82 ≈ -0.13 - 偏差値の計算: 偏差値 = (Z-Score × 10) + 50
学生Aの偏差値 = (-0.38 × 10) + 50 ≈ 46
学生Bの偏差値 = (0.51 × 10) + 50 ≈ 55
学生Cの偏差値 = (-1.28 × 10) + 50 ≈ 37
学生Dの偏差値 = (1.53 × 10) + 50 ≈ 65
学生Eの偏差値 = (-0.13 × 10) + 50 ≈ 49
まとめ
Z-Score の解説で少し触れた偏差値に関して、少し深掘りして解説しました。
偏差値は正規分布となっているデータ分布においてデータを比較するための相対値として有用です。


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